目次
患者紹介
先週から入院している80歳代の患者、褥瘡(床ずれ)による発熱と誤嚥性肺炎
施設からの入所で情報をみると寝たきり状態で、意思疎通はできない
認知症の診断はあり
日常生活は全部介助、四肢の麻痺がある
時々うなり声をあげることがあり精神薬を服用していた
入院後も時々大声を出すことがあり、声が部屋から漏れることもしばしば
口を開けることができず、注射器(栄養注入用で針なし)などを利用して直接口の中に流動食を注入している
口から食べるという意味
一番最初に違和感を感じたのは口から食べるという事をどう考えるか
注射器で口の中に食べ物を入れられるという事って
倫理としてどうなの? という疑問
本人の意思に関係なく口の中に食べ物を入れる。というこの行為は大嫌い
いや、好きな人はいないんじゃないかな
人が物を食べる意味って生命を維持する事もあるけど
食事を楽しむという事も大きな意味だと思う
それを無理やり入れるって‼
カンファレンスの大切さ
でも実を言うと私はやっている
それはなぜか?
それはカンファレンスをして納得したから
言語聴覚士(食べ物を食べることに関した専門職)も交えた話し合いで
- 患者は口を開けるという事に障害がある
- 口の中に食べ物が入れば、舌で喉の方に食べ物を送り込むことはできる
- ベッドの頭部を45度程度にすることでさらにスムーズに飲み込める
- 食事を食べなければ、胃に穴を開けてから栄養剤注入という選択となる
- 注射器での注入量に注意し、飲み込んだ事を確認して次を注入することで誤嚥性肺炎は防げる可能性が高い
との意見があったから‼
このことから学んだこと
はっきり言うと
注射器で食べ物を口に入れるという行為は
やっていてモヤっとするし
他の人から見れば非人道的行為にみえるかもしれない
でも
- やっていることにきちんと根拠があり専門職の助言もある
- 本人が嫌がっている素振りがない
- 家族も納得をしている
- 上記をスタッフみんながわかっている
という事から、自信を持って続けていいケアではないかと考えている
今回の件で一番学んだのが
やっぱりカンファレンスは大事だという事
何の話し合いもなしにこの行為を行っていたら
- ケアの怠慢
- 老人虐待
- 援助者の罪悪感
といった、誰も得をしない行為になっていたと思う
カンファレンスという話し合いをしたからこそ
自分たちの行為に意味を見出すことができ、
自信を持ってケアを行う事に繋がったのではないかと考えている
続く
この患者の事でもう一つ書こうと思っていたことがある
それは
時々大声を上げる事だ
認知症がもともとあり、寝たきり状態
そんな患者が入院されている時に大声をあげる
介助している方は、どのように考えるだろう
次の機会に自分なりに考えたことと実際にケアしたことを書きます
ここまで読んで頂きありがとうございました