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治療ができる認知症の種類(脳)
認知症というと代表的なアルツハイマー型認知症があるが、物忘れの症状から始まり夜間の不眠や徘徊などの症状が出現して改善するのは不可能だと考えられていることが多いと思う
入院してくる患者さんでもアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症の方が多いが、それに続いて多いのが慢性硬膜下血腫の患者さんだ
慢性硬膜下血腫は手術で治療できる、いわば治る認知症として知られており
- 脳腫瘍
- 正常圧水頭症
- 慢性硬膜下血種
は手術や治療することで認知症の症状が改善することが期待されるので知っておいてほしいと思う
脳腫瘍とは
脳腫瘍は読んで字のごとくだが、脳にできた腫瘍の事をいい、脳の組織から発生する原発性脳腫瘍と、他の臓器にできた悪性新生物(癌)から血流にのって転移してくる転移性脳腫瘍に分けられる
症状は腫瘍の発生部位により現れる症状も違うので、認知症の症状は幅広い症状の中の1つと考えていいのではないか
私の印象としては
認知症の症状はでるが、その他の症状
- 頭痛や嘔気、嘔吐
- 感覚障害や麻痺
- てんかん発作
もきたす事が多く、
特にてんかん発作は3人に1人に出現するといわれているので
アルツハイマー型認知症とは見分け易いのではないか
正常圧水頭症
正常圧水頭症は2種類に分けられる
- 続発性
くも膜下出血、頭部外傷、髄膜炎など - 特発性
原因がはっきりしないタイプ
高齢者には原因がハッキリしない特発性正常圧水頭症が多く、CTやMRIの画像検査やタップテストを行い、シャント手術などの治療を行っていく
私の経験では
入院してくる方の頻度は多くはなく(地域の病院だからかもしれませんが)タップテストをして症状が改善した人を、年に1・2例みる程度である
また、歩行に特徴があるので対象の方が歩行している様子を見るのも一つの判断指標になるのではないかと思う
慢性硬膜下血腫
最後に慢性硬膜下血種だが、私の病院では治療ができる認知症で入院してくる頻度がNo1の病気だ
高齢者は足の筋力が低下している事や段差などでつまずきやすい等の特徴から、転倒して頭部を打撲する機会が多い
さらに、心臓や足の先の方で血塊と呼ばれる血の塊ができたりすることから、血液サラサラの薬を服用している方も多いと思う。そのような方が酔っ払ってちょっと頭をぶつけたこと等がきっかけとなり、ジワジワと頭部に出血が溜まる。溜まった血液が脳を圧迫して認知症の症状を起こすことに繋がる
私の経験上では
本人や家族は転倒した覚えがなくても、認知症のような症状が出てきた場合は必ず脳のCTをとることが必要だと思う。
治療は五苓散の漢方薬で血種を吸収させることや、吸収できない場合や血種が多くて症状が出ている場合には脳に管を入れて血液を出す手術が行われる
手術が行われれば認知機能低下などの症状を改善させることが期待できる
まとめ
今回は内科的な疾患での”治る認知症”は除外したが、脳の疾患だけでもこれだけの治療可能な認知症がある
紹介したような症状が出た場合、本人が病気をわかって受診することは困難だと考えられるので、周りの方が気付いて病院へ受診させることが必要である
今後、物忘れの症状が出たことを年齢のためと思わないようにしてもらいたいと共に、私たちと比べると高齢者の残された人生は短いので一日一日を大切にしてほしいと願っています
最後まで読んで頂きありがとうございました