認 活男【にん かつお】ブログ
認知症看護認定看護師の情報発信活動ブログ
病院での出来事

終末期のケアでせん妄を起こしている患者

目次

せん妄状態で自宅退院

認知症の患者で癌を患い、余命が3か月から半年くらいの患者

腸骨の骨折(お尻の横位)があり入院してきたが、痛みからせん妄を起こして環境を変える目的や本人は家に帰りたいだろう。という事で

自宅に退院となった方。

退院後1週間ほどして亡くなったが、

本人は幸せだったのかというと
自分は
幸せだったとは言い切れない。と考えている

もちろん幸せかどうかは患者自身が決めることだが
私だったら。という事で考えてみたいと思う

幸せって?

幸せってどういう事かを考えてみた

  • 生活に困らず贅沢ができるくらいお金がある
  • 異性にモテモテでしょうがない
  • ボランティアや仕事でありがとうと言われる

確かにどれも幸せになりそうだけどちょっと違うような気がする

自分の考える幸せとは、

体調がよい状態で経済的に安定し、家族等の団体に囲まれて安心できる環境で、周りに認められながら、なりたい自分になれることではないかと思う

結局は昨日書いた、マズローへとたどり着くのだが

ほんと、その通りだと考えている

理想では・・・

幸せだったとは言い切れない。と書いたが

この方の場合どうすれば幸せだったかというと

せん妄状態(一時的な認知症状態)をできる限り改善しながら、夜は眠ってもらうような薬を服用、または注射していく。
痛みがひどい時には24時間の鎮静を考えていく

終末期のせん妄は改善しないことも多くて苦痛を伴うため、上記のような方針を本人・家族・医療関係者で話し合う。
自宅・ホスピス・医療機関への転院を検討することが理想だったのではないか

では、なぜできなかったのか?

話し合いができなかった

一番の原因は、医師、看護師、家族、その他の医療関係者ときちんとした話し合いができなかったためだと思っている

もちろんコロナの影響もあると思うが
実際の所うちの病院では、Drの方針=一番重要視
といった現状がある

もちろん責任といった面では医師が大きなウェートを占めているのは間違いない

しかし、考え方は十人十色
その人の常識が別の人の非常識になることはよくある話である

今後私たちができる事

せん妄を起こしているという事は、何らかの体の変調を起こしているという事

結局この患者は退院して1週間で亡くなったが

直接の死因は限定できていない。

もしかすると、癌の進行により亡くなったのかもしれないし、せん妄状態による食欲不振から脱水など起こしたのかもしれない

今後私たちができることと言えば

本人や家族、携わる医療関係者で話し合いの場を持ち、みんなが納得できるベストな決定を選択していくことではないかと考えている

せん妄については
こちら

せん妄発生時、最初にやることについては
こちら

せん妄の人を退院させる危険性については

こちら

最後まで読んでいただきありがとうございました

ABOUT ME
認 活男
准看護師として認知症看護に関わり始め看護師へとステップアップ、在宅や介護保険制度に関わる知識が必要と考えケアマネージャーの資格を取りました。そんな時に同居している祖父がアルツハイマー型認知症と診断され家族としての介護がスタート。昼間は仕事で認知症の方と関わり、その他の時間は自宅で認知症介護という日々を送りました。精神的にも肉体的にも疲れましたが、その時の経験を生かして、認知症に苦しむ方達のために活動をしていこうと決意。認知症看護認定看護師の資格を取得して現在は認知症者本人やその家族、看護師・介護士からの相談や指導に関わっています