終末期のせん妄の考え方
終末期のせん妄は認知症のせん妄とは少し違うと思う
ポイントは2つ
①興奮や焦燥感があるタイプの過活動性せん妄よりも、ベッドに横になっている事が多いタイプである低活動性せん妄の比率が多い
②可逆性(改善する)のせん妄か不可逆性(改善しない)のせん妄かを判断する必要がある
私が関わっていた終末期の方でも活動性が低くなっている方が多かった
でも先日関わった方は夜間にせん妄を起こして点滴の機械を投げ、担当の看護師が報告書を書いていた・・・ことは置いといて
結局のところはせん妄状態なので、覚醒状態が良い時もあれば悪い時もある事や会話のズレ等の注意障害、不眠等の睡眠障害などで判断して
入院中なら
①アリピプラゾールの服用(低活動性せん妄に効果)を検討していくこと
②原因の検索及び除去をする事
③非薬物療法(本人の使い慣れた湯のみやカレンダー等を持ってきてもらう)を 同時進行していくことになるのではないか
次に
改善するせん妄なのか、改善しないせん妄なのかの判断についてだが
可逆性(改善する)のせん妄は
原因因子の除去がすごく大事
原因因子とは
せん妄を起こしている原因の事で
脱水・感染・薬剤が多い
プラスで高カルシウム血症や血糖値異常など
さらには
便秘の改善や痛みのコントロール、落ち着ける生活環境を整えることも大事
一方
不可逆性(改善しない)のせん妄では
非薬物療法がすごく大事
写真を飾ったり、カレンダーを設置したりして自分の家の環境に近づけたり、
自宅であれば、落ち着ける環境を設定する
さらに、せん妄状態から僅かな時間でも脱したときには
優しい声かけを行う
家族への気遣いも大切で
家族は介護している存在+精神的・身体的に疲労がたまっているのでねぎらう姿勢は重要になる
薬物療法としては
抗精神病薬を使用しながらせん妄の鎮静に努めていく
原因(せん妄を起こしている)療法としては
除去できるものは除去していく
例えば、
脱水の改善や感染しているなら抗生剤の検討、便秘があるなら緩下剤の服用、
(せん妄の原因となっている)薬剤を変更するなど
しかし、麻薬などは変更ができないものもあるので薬物療法と組み合わせながらうまく付き合っていく
低活動性せん妄の方が比率が多いので、せん妄を見極めながら原因の除去や薬物治療をしていく
可逆性(改善する)のせん妄なのか、不可逆性(改善しない)のせん妄なのかを判断し、
①薬物療法
②非薬物療法
③原因の除去
を組み合わせながら生活の質を確保していく
個人的には
終末期は人生の集大成だと考えてます
その人の人生を本人と一緒に振り返れる大事な瞬間
大事にしたいですね