認 活男【にん かつお】ブログ
認知症看護認定看護師の情報発信活動ブログ
本や新聞の感想

認知症の先輩が教えてくれたことを鑑賞して感じたこと③(田中博さん・洋子さん夫妻編)

目次

夫妻の紹介

田中博さん(77歳)。1年前に、アルツハイマー型認知症と診断された妻の洋子さん(74歳)と暮らしている。

専業主婦として、これまで家事を完璧にこなしてきた妻の洋子さんは20代で博さんと結婚した。夫の博さんの単身赴任が20年以上続いている間、洋子さんはひとりで子育てを行ってきていた

取材を始めて3か月たった時に、洋子さんが行方不明になり自宅から25Km離れたところで発見される。という出来事がおこる

洋子さんは記憶障害があるので出来事を覚えておらず、
私は悪い事は何もしていない。迷惑もかけていない。お父さんはわかっていない」と話し、博さんも「お前はわかっていない。(洋子さんの発言に対して)はいそうですか」と呆れたような発言

孫から洋子さんへの手紙では

ばあばへ。一人で行くのはやめて、じいじと一緒に行ってね」といわれる

洋子さんの症状と徘徊

洋子さんは短期記憶障害が中等度ほどで、地誌的見当識(帰り道がわからなくなる)の障害もある。しかし、夜間の不眠や易怒性(すぐに怒る)はなさそうだ。

デイサービスでは時折徘徊があるが、理由は
お父さんを探している。という事であり、夫への愛情及び心配がうかがえる

この時注意しないといけないのは認知症の方の徘徊には必ず理由があるという事だと思う

認知症の人が徘徊するのにはきちんと理由があり、
介護・看護している方でもそれを理解していない人は多い。

記憶障害によって、
病院やデイサービスに来ている事を忘れ

見当識障害によって、
場所がわからず、とりあえず家に帰らなければいけないと思う

というのが徘徊の原因で、それに加えて

不安を覚えて、安心できる場所を探しているのである


対応としては本人の見える場所に


「お父さんは○○時に来る予定です」

「○○という病気で入院しています。お父さんへはお伝えしてあります。
 入院して休むように伝えてほしい。とおっしゃっていました」

「朝ご飯はお父さんから言われて注文しています」など

紙に記入し貼っておくのが効果的ではないか

それでも不安に思うようであれば
家族に電話して話してもらったり、テレビ電話を活用したりすることや

本人が興味がありそうなもの(手芸や塗り絵など)を用意したり、興味のある話へ徐々に誘導していくこと

が必要だと思う


介護している博さんへの対応

博さんは

「私は(妻を)”もの”として見ている。しゃあないなと私自身を納得させている」
「最後の最後までずっと落ちていくのか? 人間としての人格がなくなると同時にただの物体になってしまう」

と話している

私にとっては衝撃的な言葉だが
家族の気持ちを正直に表現していると思う

人生を共にしてきたパートナーにここまで言わせるのが
認知症という病気の最大の恐怖ではないか


そういう私も祖父を介護している時に
だいたい(息子である)父が介護するべきだろう。なんで私ばっかりしないといけないのか?仕事で看護、家に帰ると介護って大変すぎだろう。
(祖父は)早く亡くなってほしい

とまで思った。10年程前の事だが正直な感想である。


ではどうすればいいのか?

それは

  1. 介護する人を増やし交替制にして一人一人の負担を減らす
  2. 認知症者の介護保険を使い、昼間はデイサービスを利用するなどして介護者の負担を減らす
  3. ショートステイ(一泊サービス)を利用して介護者の負担を減らす
  4. 同じような境遇を持つ家族と繋がれるように認知症カフェに参加したり、ケアマネージャーに相談したりする(包括支援センターでも可)
  5. 自分の事を優先して考える。施設に預けて可哀そうと考えない。
    たとえ施設に預けている間に旅行でリフレッシュしても申し訳ないと思わない

ではないかと思う

特に⑤では
「私がみないといけないのに、施設に預けて申し訳ない」とおっしゃる方がたくさんいるが、そう考えるのは危険だ

介護を陸上に例えるなら
マラソンと心得る。短距離走の気持ちで介護するといつか疲れてしまう

まとめ

2人暮らしでどちらかが認知症になり、残ったパートナーが介護をする。という状況はこれからどんどん増えていくと思う

認知症者には認知症者の思う所があり、家族は家族の思う所がある。折り合いをつけていくことが必要だが認知症者は病気であるので、どうしても介護者が合わせないといけない

しかし、今まで医療関係以外の仕事をしていて認知症について理解するのには時間がかかる。実際田中博さんも

「わからん。頭ではわかっているけど・・・」と話している


だが私が思うのは、
認知症を理解する事はベストだと思うが、
認知症者とその家族が普通に暮らせるためにはどうすればいいかを考えるだけでいいのではないかと思う

正直、
認知症看護に長年就いている人でも対応方法を理解していない人もいるからだ。


認知症の方は
昼間はデイサービスやデイケアに行き、週に一回位は施設に泊まるが家族と過ごす時間はきちんと確保されている

介護者は
認知症者がデイサービスから帰ってきた日は家で介護を行い、
週末に余裕がある場合は自宅で介護したり、一緒に旅行に行ったりする日を作る

お互いにストレスはあるかもしれないが息抜きの時間も確保されているといった状況を目指して

普通の生活を送ることを目標に生活環境を構築していくことが必要ではないか

医療関係者としては、介護している家族だから認知症に対してしっかり理解してもらわないといけない。と考えるのではなく情報は提供しながらも、ある程度の理解でよい。とのスタンスで対応していくことが必要だと思う

最後まで読んで頂きありがとうございました

ABOUT ME
認 活男
准看護師として認知症看護に関わり始め看護師へとステップアップ、在宅や介護保険制度に関わる知識が必要と考えケアマネージャーの資格を取りました。そんな時に同居している祖父がアルツハイマー型認知症と診断され家族としての介護がスタート。昼間は仕事で認知症の方と関わり、その他の時間は自宅で認知症介護という日々を送りました。精神的にも肉体的にも疲れましたが、その時の経験を生かして、認知症に苦しむ方達のために活動をしていこうと決意。認知症看護認定看護師の資格を取得して現在は認知症者本人やその家族、看護師・介護士からの相談や指導に関わっています