認 活男【にん かつお】ブログ
認知症看護認定看護師の情報発信活動ブログ
病院での出来事

身体拘束を辞めたいけど(今日の出来事)

目次

患者紹介

80代の女性で勝気な性格 脳梗塞の後遺症で単語レベルでしか発語できない
診断はないが脳血管性認知症だと考えられる
お願いしたことを理解してくれることもあるが、自分の思い通りにいかないと立腹し茶碗を放り投げたりする

自分で立とうとするが、片足は切断していて思うように起立できず車椅子移動

最近は片足を使って車椅子を動かし自由に生活
だけど入院当初から車椅子と体を抑制ベルトで固定され前のめりに倒れたり、起立しないように身体拘束をされている

抑制をされる時には激しく抵抗するが、一度行うと短期記憶障害もあって拘束されている事を忘れてしまう

昨日から今日にかけての出来事

昨日の昼間は私が担当だったので、抑制帯を外して見守りをしていた。

ホールで過ごす間、テレビのリモコンを使ってチャンネルを替え野球を観たり、給湯器の水を飲んだりと穏やかに過ごしていた
特段興奮する様子も見られず日中から夜間を過ごす

それから今日の話

看護師3人がかりで抑制帯を付けていて、うち一人の看護師が暴力を受けた様子であった

その方はひどく興奮し文句を言っている

通りかかったので、「昨日は抑制帯を外して様子を見ていたら穏やかに生活されていて、転倒するよう様子もみられなかったですよ」と話すと

「でも、立ち上がらないとは限らないのでつけておいた方がいいと思うんですけど」との看護師さんたちの意見

このような時にはどうすればよかったのか?

実際のやりとり

この後結果的には、身体拘束を続けたが拘束しない時間を作るようにした

会話のやり取り

看護師
入院してきたときに立ち上がったりしていたので、付けておかないと転倒するかもしれません

自分
リハビリの方と話した時には、
座面を高く(座布団などを使用して)しなければ立ち上がったり、前のめりに倒れたりしないのではないか、という話で実際拘束をしなかったら大丈夫でした

看護師
でも見守りしておかないと何かに掴まって立つかもしれないじゃないですか

自分
それは何かの理由があっての事だと思います。例えばベッドに横になる。という理由などです

看護師
ずっと見ておくことはできないじゃないですか?もう退院も決まっているし。
転倒したときには報告書も書かないといけないですし・・・

といった具合、

ここで考えていかないといけないことは何だったのだろうか?

身体拘束をしているのを見ると、つい感情的になってしまう事や口下手なのもあるため、冷静になって考えてみる

身体拘束をする基準

身体拘束をする前提として

  1. 一時性(一時的な物であること)
  2. 代替性(身体拘束をする以外に方法がない事)
  3. 切迫性(本人の生命又は身体が危険にさらされる可能性が高い事)

の3つを全て満たしていないと行えない

あてはめて考えると
①の一時性には、人員的に見守りをする人がいないことが考えられる。しかし見守りながら出来る仕事がある可能性もあり満たしているかと言われれば満たしていない可能性が高い

②の代替性では
昨日は身体拘束をしなくても転倒をしなかったという前例がある。だが上でも述べた通り人員的な問題により見守りができず転倒の危険性がある。この2つを天秤にかけてみると見守りながらの仕事ができる可能性もあるので、満たしているとは考えにくい

③の切迫性では
転倒による生命の危険がある。とも考えられるが、どれくらいの確率で転倒するかと聞かれればすごく高いとは考えずらい。なので満たしていない可能性が高い

身体拘束を続けた理由

誰でもそうだが身体拘束をしようと思ってしている人はいない

それでも行ってしまうのは拘束しないといけない状況があるからだ
2~3個の仕事を掛け持ちながら対応していると、どうしても優先順位の高い方から取り掛かり身体拘束をやめるという工夫をすることが後回しになってしまう

そういった感情を理解しながらどうすれば身体拘束をなくすことができるだろうか?という事を考え、それを継続していく事が必要だと思う

人は自然と楽な環境を求め、それに慣れてしまうと考える事をやめてしまうので
注意しないといけない

今回身体拘束を辞めるか、続けるかという議論をしたわけだが、どっちかに決めるのではなく、お互いの気持ちを尊重しながらベストな答えを出し、身体拘束を減らす及びやめるきっかけになればいいのではないかと思う

でも忘れてはいけないのは、患者さんファーストであることではないでしょうか

最後まで読んで頂きありがとうございました

ABOUT ME
認 活男
准看護師として認知症看護に関わり始め看護師へとステップアップ、在宅や介護保険制度に関わる知識が必要と考えケアマネージャーの資格を取りました。そんな時に同居している祖父がアルツハイマー型認知症と診断され家族としての介護がスタート。昼間は仕事で認知症の方と関わり、その他の時間は自宅で認知症介護という日々を送りました。精神的にも肉体的にも疲れましたが、その時の経験を生かして、認知症に苦しむ方達のために活動をしていこうと決意。認知症看護認定看護師の資格を取得して現在は認知症者本人やその家族、看護師・介護士からの相談や指導に関わっています