認 活男【にん かつお】ブログ
認知症看護認定看護師の情報発信活動ブログ
自動車運転

高齢者の自動車運転について②

目次

池袋暴走事故で思う事

加害者が上級国民だといわれて話題となった事故

高齢者の体の機能が低下した事が原因なので、身体機能が低下した高齢ドライバーは出来るだけ運転しないように呼びかけよう

で済まされる問題ではないと思っている

それは

①高齢者が運転をしなくても良い環境とは

②高齢者が運転をしなくなればどうなるのか

を考えることが必要だと考えているからだ

①については以前のブログで述べた通り

今日は

②高齢者が運転をしなくなればどうなるのか

について考えたい

高齢者が運転をしなくなった時起こる事

高齢者が運転を辞めた時に起こるのは


事故の増加かもしれない

このようなデータが発表された

自動車運転を中止した高齢者は
継続していた高齢者に比べて
要介護状態になるリスクが8倍上昇

これから高齢化社会がすすみ、要介護状態の方が増える中で
運転をしなくなり

要介護状態の高齢者が増えるという事である

追い打ちをかけるように

運転を辞めた高齢者が
自転車や公共交通機関を使ったとしても
要介護状態になるリスクが高い

とも発表されている

要介護状態の方が多くなれば当然
施設や病院に入れず、自宅で介護を受ける方が多くなるという事である

そのことから予測できるのは

認知症者の増加である

実際に運転している高齢者は、運転していない高齢者と比べ

認知症のリスクが4倍上がるとのデータがある

また、

2011年に発表された生活機能と認知機能との関係では

近隣しか外出しない人は郊外に外出する人に比べて
アルツハイマー型認知症や軽度認知症、認知機能の低下をおこしやすい

という事が示された

自動車の運転を辞めて遠出ができなくなった事や要介護状態となったことで
行動範囲がどんどん狭くなり

認知症の一歩手前のMCIという状態や
認知症の方が爆発的に増える未来が想像できる

認知症の方が増えた結果起こる事

これは想像がつくかもしれないが、


周遊(徘徊)する方が増えてくる


のではないだろうか

認知症が進んでくると短期記憶障害や地誌的見当識障害(帰り道がわからなくなる)といったことが起こってくる
つまり

  • 出かけたのはいいが、帰り道がわからなくなった
  • お嫁に来たという記憶がなくなり、実家があるところに帰ろうとして道に迷う
  • 財布がなくなったと思い込み、お金をおろすために銀行に行こうとする
  • 車に乗せてもらおうと車を止める(我が家の祖父です)
  • 夜間の周遊も多く、雨の日真夜中に国道を通ったりする(自動車学校の講習でありました)

という事から

事故は減るどころか増える可能性も否定できない

解決策

これは、町や市、県単位で考えていかないと難しいと思うが個人で出来ることは

  • 認知症の予防を行っていくこと(運動や頭を使うコグニサイズ・食生活・コミュニティーへの参加など)
  • 認知症症状の早期発見(発症しても遅らせる)
  • サポートカーの利用

他にもあるかもしれないが・・・

中心になって行っていくのはやはり行政などで

高齢者の困りごとをアンケート等で聴きながら、
サービスを整えていくことではないかと思う

読んでいただきありがとうございました

ABOUT ME
認 活男
准看護師として認知症看護に関わり始め看護師へとステップアップ、在宅や介護保険制度に関わる知識が必要と考えケアマネージャーの資格を取りました。そんな時に同居している祖父がアルツハイマー型認知症と診断され家族としての介護がスタート。昼間は仕事で認知症の方と関わり、その他の時間は自宅で認知症介護という日々を送りました。精神的にも肉体的にも疲れましたが、その時の経験を生かして、認知症に苦しむ方達のために活動をしていこうと決意。認知症看護認定看護師の資格を取得して現在は認知症者本人やその家族、看護師・介護士からの相談や指導に関わっています