認 活男【にん かつお】ブログ
認知症看護認定看護師の情報発信活動ブログ
病院での出来事

相談内容からせん妄の患者を退院させる危険性を感じました

目次

相談された内容

80歳代の女性でもともと認知機能の低下はあったらしいが、10月の初めに脳梗塞を起こし入院してきた患者

麻痺はなかったが後頭葉の出血だったようで幻視がみられだし、入院してからはせん妄により廊下の徘徊(周遊とも言います)を続けていた様子。

帰宅要求や家族の希望もあり、2日目で退院になったようで自宅で様子をみていたが、近所の家に勝手に上がり込んだり、夜間の不眠があったりして家族がもうみれない。との訴えがあっているとの相談

ケアマネージャーも精神科の入院を勧めているが、空きがなくどうすればいいかとのことであった

せん妄=意識障害

ここで注目してほしいのはせん妄が疑われる中で退院した事
せん妄=意識障害で、せん妄=認知症の一種ではない

これを間違えると大変なことになり、医療機関の責任問題になる

どういう事かというと

例えば、
夕方にせん妄を起こして点滴の自己抜去や廊下の徘徊をしている患者がいて
「もう家に帰る」と言っていたとする
それを聞いた看護師が、せん妄状態だとわかりながら医師へ報告
医師もせん妄状態であることを認識しながら
“退院可能”との判断をした

結局自宅退院となったが、その後
患者は車の運転をして人身事故を起こした

その場合責任は誰がとることになるだろうか?

先日受けた研修での説明では
医療機関の責任になる可能性が高い であった

それは、先ほど述べた通り
せん妄は意識障害であるからだ

意識に障害のある人=車の運転をして事故を起こすことも予測されるからである

今はまだ問題にはなっていないが、社会を揺るがす事故が起こった時、

例えば池袋で発生した、
高齢者がアクセルとブレーキを踏み間違えて親子が犠牲になった事件

あのような事件があった時

せん妄状態の患者を退院させた医療機関は
責任の追及に追われると思う

自分が当事者にならないために

今回は医療従事者として、せん妄の知識を持っておかないと責任を追及される側にたってしまう事について書きました

せん妄を起こしやすい方の特徴に、高齢者である事や認知症の既往がある事が知られています

私の病院でよく聞く話は

入院や入所により
環境が変化した為せん妄を起こしたので、家に帰れば(退院すれば)せん妄は良くなる。だから退院させよう
といった風潮があります

確かに環境の変化により
せん妄が起きやすくなるのは事実です

しかし
起きやすくなるだけで、起こしはしません

せん妄状態を起こすためには、必ず身体症状が引き金になります

患者の安全の為にも、せん妄についての正しい理解をしておくことが必要だと感じました

せん妄については
こちら

せん妄発生時、最初にやることについては
こちら

最後まで読んで頂きありがとうございました

ABOUT ME
認 活男
准看護師として認知症看護に関わり始め看護師へとステップアップ、在宅や介護保険制度に関わる知識が必要と考えケアマネージャーの資格を取りました。そんな時に同居している祖父がアルツハイマー型認知症と診断され家族としての介護がスタート。昼間は仕事で認知症の方と関わり、その他の時間は自宅で認知症介護という日々を送りました。精神的にも肉体的にも疲れましたが、その時の経験を生かして、認知症に苦しむ方達のために活動をしていこうと決意。認知症看護認定看護師の資格を取得して現在は認知症者本人やその家族、看護師・介護士からの相談や指導に関わっています