目次
口の中にもっと興味を持つことが大切
以前の研修会を受けた資料が出てきたことや、今まで口腔ケアにあまり触れていなかったので復習の意味合いで整理していこうと思う
まず研修会で話があったのは認知症の人の口腔機能の管理は重要であるという事
- 本人が歯や口の中について訴える事は少ないが、実際には問題を抱えている事が多い
- 認知症の重度化などが原因で口腔ケアに介助が必要になってきた場合、発熱を起こす割合も高くなってくる
- 認知症を伴う要介護者はそうでない要介護者に比べて、虫歯や歯周疾患の割合が高く、義歯が必要になっているケースがが高い
- 歯科が介入している施設はそうでない施設と比べると常食の食形態の割合が多い
- 歯科からアドバイスをもらっている施設の利用者は、口の中の炎症を起こしている割合が少ない
と、施設や病院により歯科と連携しているかどうかで、差が生まれてくるということである
認知症の重症度での違いと援助の視点
MCIから初期の認知症の方については、
ブクブクうがいなどは自立しているが徐々にケアの精度が低下し、不十分になっていく。
日常生活で口腔清拭をする習慣を作れるよう援助していく
認知症初期から中等度の方では
自立して行う事が困難になり、義歯を紛失することもしばしば
薬剤が口に残る事があり、マグネシウム剤ではやけどを起こすこともある。
特に麻痺があると食物が口の中に残っているかわからない
自尊心を傷つけないように口腔ケアの支援を行う
認知症中程度から重度の方では
口腔清拭の意義が理解できなくなり、ケアを拒否する
義歯を自分で着脱することが困難になる
出来ることを見極め出来ない部分にアプローチをしていく
誤嚥などに注意が必要
オーラルマネジメントとは
感染源対策としての口腔ケアと、感染経路対策としての口腔ケアという考え方をしてみる
①感染源対策としての口腔ケアは
口腔内の衛生状態を改善できることを目的に行い、ケアにより肺炎の重症化の予防を図る事が可能
⇒こちらの方だけを私は考えていました
②感染経路対策としての口腔ケアは
誤嚥を防ぐ働きを活発化させる。口を刺激して咳反射や嚥下反射を活性化させる”サブスタンスP”という物質の分泌を促すという事
飲み込みがスムーズになる事で口の中の古くなった上皮を飲み込めるようにならないといけない。古くなった上皮は菌の溜まる温床である
⇒これはあまり考えていませんでした。
でも髪や爪が生え変わるように皮膚が垢へと変わり入浴の時に落ちていくように、口の中でも同じような現象が起こっているのは当然の事かと納得できます
寝たきりになると口腔内は乾燥する。そこで唾液の分泌を促すように関わっていく事が大事
唾液の働きとしては
- 口腔内の自浄作用⇒食物の残りの貯留を防ぐ
- 口腔内の湿潤作用⇒乾燥を防ぎ咀嚼や嚥下を助ける
- 味覚の媒体⇒味覚感覚を助ける
- 消化作用⇒唾液に含まれるアミラーゼという酵素によりでんぷんを消化する
- 抗菌作用⇒唾液に含まれるリゾチームやラクトフェリンという酵素等で抗菌する
- 排泄作用⇒有害物質を希釈、無害化する
- 緩衝作用⇒口腔内のPH(酸性とアルカリ性のバランス)を保つ
まとめ
昨年の老年看護学会でも口腔内のフレイル(加齢とともに筋力や認知機能が低下し要介護状態や生活の障害が起きやすくなる事。虚弱ともいわれる)についての発表が多かったように思えます。
高齢者同士の話題の中で手足の筋力低下についてはよく聞くのですが口腔内の環境や、飲み込む筋力の低下についての話題はあまり聞きません。高齢になっても食を楽しむ事は重要である認識を持ってもらうために、まずは身内の中からでも口腔内の話をしてみるのはどうかと思います。
私も出前講座で高齢者に話をするときには、必ず話題に挙げようと再認識することが出来ました
読んでいただきありがとうございました。