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病棟での困りごと
看護師の方の間で80代の男性患者が「まだまだアッチも元気」といつも言ってくる事や清拭の時に「下の方(陰部)も拭いてもらった方がいい」とおっしゃる方が話題になっている
若い看護師たちは「気持ち悪い」や「もう絶対行かない」といい、定年退職の近いおばちゃん看護師の方たちが、「私に任せときなさい」と担当になり冷たくあしらう。といった出来事が現在進行中だ
在宅では
息子の嫁が義理の父の介護の時に下半身を触られたり、下ネタを言われたりする。息子に相談をしても、笑ってすまされることや取り合ってもらえない。といった事を耳にする
でもなぜこのようなことが起こるのか考えてみた
認知症の方のセクハラはなぜ起こるのか
セクハラ行為は古き良き時代には日常生活で起こっていることが多々あり、自分の働いていた病院でも起こっていた。特に年齢を重ねた男性看護師や事務関係の方が、若い看護師に対してスキンシップと大義名分を掲げ、臀部を触り反応を楽しむ。という事は日常茶飯事に近かった
こういった方たちが高齢となった今、時代の変化に気付かずに続けている場合もある
しかし、認知症で起こるセクハラはちょっと違う
認知症になると脳が委縮してくるのだが、前回の易怒性でも話した前頭葉や側頭葉・後頭葉などの萎縮が問題になってくる。
前回の易怒性についてはこちら
前頭葉は人間らしさを司る場所なので、萎縮が起こってくるとその場にそぐわない行動や言動であったり、性的逸脱行動(セクハラ行為)が起こったりしてくる。
特に食欲や性欲は人間の本能の部分なので抑制がかからなくなれば、介護者にとっては問題行動として捉えられやすい
一方後頭葉は視覚を司どる場所なので、目に見えている人が自分のパートナーに見えるのであればスキンシップをするのは正常とも言えるのではないだろうか
また側頭葉の記憶を司る場所でも、記憶障害によって自分の年齢が若いと思っている所に若い娘が体を拭いてくれたりしてお世話をしにくれば、"素敵な勘違い”をすることがあるかもしれない
このように認知症のセクハラでは、脳の障害されている部位によって
対応方法
認知症でおこるセクハラについては、やめさせようとするとエスカレートすることも考えられるので、基本的に軽く受け流すのが一番いいのではないかと思う
「はい、触らないでくださいね~」といった感じ
そのほかには
男の患者には男性スタッフが対応し、女性には女性が対応するという方法や他に気持ちを紛らわせるような、集中できることを用意することがよいのではないか
その人の生活史を知り、歌うことが好きなのであればカラオケ、編み物が好きなのであれば編物、そのような情報がない場合は職業などを参考にする。
農家をやっていた方なら、どれ位の田んぼがあったんですか?といった話から、大変だったでしょう?といった働きかけを行い話を膨らませていく。
教師であれば、どれくらいの学校を回ったんですか?という事や、言う事を聞かないガキ大将みたいな子供がいたでしょう?といった話をすればどんどん膨らんでいく。
そうやって工夫していくことで性的欲求を忘れ、いつの間にか普通に話をする事が多くなってくると思う
まとめ
私は性的欲求が強い事自体はよいことだと思っている。むしろ性欲が強く自分を綺麗に、かっこよく見せる工夫をしている方が活力があり、人生を楽しめるような気がする
(実際に整容に気を使ったり、服選びに気を使ったりしている人の方が笑顔が多いような印象もある)
一方で介護・看護者の不快になったり、ひどい場合は精神的に追い詰めたりする行為は避けて通らなければならない。
その為にできる事はセクハラをしてくる認知症の方を変えるのではなく、介護・看護者が創意工夫して変わることが必要ではないだろうか
認知症は脳の障害によるもので誰もがなりえるものという事を肝に銘じ、セクハラがおきない環境調整を目指していくことが大事だと思う
最後まで読んでいただきありがとうございました。