目次
レビー小体病の種類
レビー小体病(レビー小体型認知症ではなく)では
αーシヌクレインを主成分としたレビー小体が
脳や自律神経(次に解説)に現れる状態をいう
- レビー小体が中脳の黒質という、ドパミンを製造する所に現れ黒質が壊れた結果、運動がスムーズにできなくなったのがパーキンソン病
- レビー小体が大脳皮質(脳の表面で人間的な知的活動をするところ)に広範囲に現れ、認知症の症状が現れるものをレビー小体型認知症
- パーキンソン症状が出て1年以上経ってから認知症の症状が出た場合は、認知症を伴うパーキンソン病という
しかし、パーキンソン病でも高齢になるに従い認知機能は落ちてくる可能性が高いので両者は同じものだと考えられていることが多い
いわば、パーキンソン病とレビー小体型認知症とは兄弟の関係にあたるものと考えてもよいのではないか
レビー小体は自律神経にも現れる
レビー小体は脳に現れる(矢印)が自律神経にも現れ、自律神経=全身に枝分かれしているのでレビー小体病=全身の病気といっても過言ではない
自律神経の働きとしては
- 運動によって脈や呼吸が速くなる
- 気温が高くなると汗が出る
- 食事をとると胃や腸が自然に動き出して消化する
など自分では制御できないような働きをする
代表的な症状としては
- 起立性低血圧
起立後3分以内に血圧が下がり、頭重感、めまい、立ちくらみがありひどい時は失神する - 排尿障害
頻尿、尿失禁、排尿困難、残尿など - 消化管運動障害
便秘や腸閉塞 - 発汗低下・過多、体温調節障害、顔がテカテカする 等の症状がある
時々救急車で搬送されて、到着時には意識がハッキリ、検査でも異常なし。といった方が実はレビー小体病だったりもする
では、レビー小体型認知症は?
レビー小体病について解説したが、ではレビー小体型認知症はどうだろう
今まで解説した症状に加え
レビー小体型認知症は
脳の表面全体にレビー小体が現れ、特に後頭葉や頭頂葉に現れる
後頭葉=視覚を司る場所なので
- はっきりした幻視(子供がみえる等)
- 錯視(紐がヘビにみえる等)
- 構成障害(物が組み立てられなかったり)
- 視空間認知障害(道に迷ったり)
が現れたりする
また、
レム睡眠行動障害や認知機能の動揺もある
レム睡眠行動障害とは、
人が眠っている時の睡眠の種類
- レム睡眠・・・脳は起きている状態の睡眠
- ノンレム睡眠・・・脳が眠っている状態の睡眠
のうち
脳が起きている状態の睡眠中に起こる行動で
過去相談を受けた事例では、夢の中で
- 蜂の巣を壊していた
- 高い所から飛び降りようとしていた
ときに
隣に寝ている人を叩こうとしたり、ベッドに立ち上がったりするような行動をとったと発言されていた
暴力行動による怪我や、寝言が多いので本人も困っており、これには
抗てんかん薬が処方されることが多い
認知機能の動揺も特徴的な症状の1つだ
しっかりしている時間とボーっとしている時間の差が激しくなり
数分~数時間、数週~数か月に及ぶ変動もある
経験上多いのは
午前か午後のどちらかにボーッとしている時間が多い例だが
病気によるものなので、無理に活動を促すのではなく、はっきりしている時間にリハビリを行ったりすることが必要だ
まとめ
- 自律神経症状がある
- 視覚障害がある
- 睡眠障害がある
- 認知機能に変動がある
と、ここまで解説してきたがこの他の特徴として
- 70歳から80歳代の高齢者で男性にやや多い
- パーキンソン病と同様に筋肉が硬くなり、動作が遅くなる
手足が震え、体のバランスが悪くなり転倒しやすくなる - 抑うつ症状が出る(7割にみられる)
- 薬剤に過敏になる
- 病気初期は物忘れの症状は目立たない
- 経過は個人差があるが4~8年くらいで死に至る病気
である
認知症の中ではアルツハイマー型認知症に次いで多いとされているが、パーキンソン病と症状が似ているため確定診断されていないことが多い
確定診断は2017年6月に診断基準が発表されているので一度目を通してみるのも面白いかもしれない
最後まで読んで頂きありがとうございました