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自動車の運転を辞めさせたいと相談(3か月ほど前)
家族から自動車の運転を辞めさせたいのだがどうすればいいのか?との相談
対象の方は79歳の男性で妻と2人暮らし。仕事を定年退職し今は米を作ったり地域の役員をしたりとセカンドライフを送っている
妻は認知機能の低下はないが癌の定期検査の為に、片道1時間の病院に1回/月通院。対象の方はその送迎をしているようだが、時々帰り道がわからなくなったりして妻から指摘されている様子
性格は短気で亭主関白、さだまさしの関白宣言の歌詞に近い家庭(古い?)
息子は片道40分の所に家を建て、時々父の様子を見に帰る程度
相談は息子からで
最近物忘れがひどくなっていて、怒りっぽくなっている。妻はすぐに怒るので怖がっており何も言えない。息子が冗談で物忘れの事を言うと立腹し話を聞こうともしない
高齢者の自動車事故が多くなっているので免許返納してほしいが、話を聞こうとせず怒り出す。免許更新は来年度であるがその時に返納になるのか疑問
自主返納がベストだが農業もしていて車が必要なのはわかる
糖尿病で外来に通院しているのでその時に少し話をしてみてほしい
という相談内容であった
本人との会話で気付いたこと
本人が糖尿病で受診したときに話をする
主治医も物忘れがひどくなっている事に気付いており、一度認知症の検査をしてみませんか?と促し本人も了解してくれた
糖尿病の診察後に、早速認知症の検査(長谷川式簡易知能スケール)
最初は表情穏やかに対応していたが、記憶の項目になると
「何ですかこの検査は、馬鹿にしている。こんな事されるなら病院をかえないといけない」と怒り出す。
結局検査は途中までしかできなかったが、解った事は
自身で物忘れがある事に気付いているという事。そのことを悟られまいとして攻撃的になっているようであった。その気持ちはすごく理解できる
認知症になると奪われるものが多すぎるからだ。例をあげると
- 運転免許
- 一人で外出する権利
- 尊厳
- 地域や職場での役職
家族、包括支援センター職員、病院関係者で会議
本人と話をした数日後に会議を行った。
話の内容は
- 免許返納について今後どのように対応するか
- 認知症の検査を受けてもらうためにはどうすればいいか
といった内容
結果としては、
妻が介護保険の適用となりそうなので、本人に対しても
「一緒に調査を受けてみませんか?」と包括のスタッフが促していく
うまくいけば認知症検査の同意を得て検査を進めていこうというもの
その結果どうなったかというと・・・
包括のスタッフが自宅訪問をした際
他者とあまり顔を合わせようとしない。偶然会って話をしても
妻の話は積極的にするが、自分の話になると怒り出す
との報告であった
反省点
この流れに自分はすごく反省している
それは考え方の自体がまちがっている
本人に対して
認知症の疑いであることは告げずに、小手先の考え方で認知症の検査を済ませようとした点である
ACPはどこにいった?と
過去の自分に説教したいくらいだ
ACPとは=本人の意思決定を支援するプロセス。患者さんの人生観や価値観、希望に沿った、将来の医療及びケアを具体化することを目標にする
私がやらなければならなかったのは
“周りから見ていて物忘れがあるように見える。物忘れの症状が出るのにはいろんな病気が考えられるので一度検査をして、治らない物忘れ(アルツハイマー型認知症など)なのか、治る物忘れ(慢性硬膜下血腫や甲状腺機能低下症など)なのかをはっきり診断することが必要です”
ということを家族や医療者から本人に話して検査の同意等を得ていく事ではないだろうか
それが尊厳を持った接し方ではないだろうか?
うーん、考えれば考えるほど過去の自分を説教したくなる・・・
実際今は家族から説得に当たってもらっている所だが進展はあっていない
でも
これを読んでいる方には同じ失敗をしてほしくないと思っているし、私も同じ失敗をしてはいけないと思う
何か進展があればまた報告します
ここまで読んでいただきありがとうございました